CUT&Tag-IT™ R-loop Assay Kit

DNA-RNAハイブリッドR-loopのゲノムワイドプロファイリング

 

CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kit の概要

CUT&Tag-IT<sup>®</sup> R-loop Assay Kit
 

CUT&Tag (Cleavage Under Targets & Tagmentation)は、特定のヒストン修飾やタンパク質をターゲットとし、抗体を使って酵素(Tn5)を標的領域に誘導する方法を利用した、ゲノムワイドなクロマチンプロファイリング技術であり、目的タンパク質のクロマチン結合部位を明らかにすることができます。標的分子へ抗体が結合後、シーケンシングアダプターをあらかじめ導入したプロテインA結合Tn5トランスポゾーム酵素(pA-Tn5)を用いたタグメンテーションにより、NGSライブラリーをワンステップで調製することが可能です。

CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kitは、CUT&Tagを利用したR-loop検出法です。DNA-RNAハイブリッド抗体(Clone S9.6)と最適化されたプロトコルにより、ゲノムワイドなR-loop領域をプロファイリングします。CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kitは、DNA結合バッファーを最適化し、DNA精製カラムの改良や、Q5ポリメラーゼのマスターミックス化、二次抗体反応中のセカンドミキシングステップ(二次抗体反応時にペレットを分散させる工程を挟むことで均一な反応が期待できます)などを追加し、R-loop検出用に特別にデザインされています。また、ストリップチューブフォーマットにすることでロスの少ない効率的な実験計画が可能となりました。

R-loopは3本鎖の核酸構造をとり、1本鎖のRNAがDNAの2重らせんに侵入して相補的なDNA鎖とハイブリダイズし、非鋳型DNA鎖が対にならないまま残ることで形成されます。このようなR-loop構造は、転写開始時や、IgGクラススイッチ、ミトコンドリアDNA複製の際に形成され、テロメアでもR-loop構造が確認されています。一方で、R-loopの異常形成は、DNA損傷、複製フォークの停滞、DNA修復の障害、ゲノムの不安定性などと関連しています。転写プログラムが異常に活性化されたがん細胞では、転写と複製の競合が起こり、異常なRループ形成の可能性が高まります。

CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kit Advantages:

  • 他のクロマチン解析法と比較して、バックグラウンドが低く、S/N比が高い
  • DNA:RNA免疫沈降法(DRIP)やクロマチン免疫沈降法(ChIP)よりも迅速かつ効率的
  • 37,250~500,000個の培養細胞または凍結保存細胞に対応

CUT&TagをベースとしたR-loop研究へのアプローチは、様々な生物学的背景におけるR-loopの形成、制御、機能を研究するための強力で高感度な新しいツールとなり、最終的にはこの重要な分子プロセスの理解を深めるのに役立ちます。

さらに詳しくCUT&Tagを知りたい方は、こちら

How the CUT&Tag-IT R-loop Assay Works

How the CUT&Tag-IT R-loop Assay Works

 

CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kit の構成品

CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kitは温度帯の異なる2つの箱で出荷されます。-20℃保管となる構成品はドライアイスとともに、凍結不可で4℃保管とすべき構成品は室温でのお届けとなります。開封後、すべての試薬等はマニュアルに記載の適切な条件で保管してください。適切に保管された場合、受け取り日から6ヶ月間安定であることを保証します。

含まれる試薬等:

  • 5% Digitonin, store at -20°C
  • R-loop RNase A, store at -20°C
  • Protease Inhibitor Cocktail, store at -20°C
  • CUT&Tag-IT® Assembled pA-Tn5 Transposomes, store at -20°C
  • 10 µg/µL Proteinase K, store at -20°C
  • DNA-RNA Hybrid mAb (Clone S9.6), 1 mg/mL, store at -20°C
  • Rabbit Anti-Mouse Antibody, store at -20°C
  • Tagmentation Buffer, store at -20°C or 4°C
  • Q5 Polymerase Master Mix, store at -20°C
  • i7 Indexed Primer 1, store at -20°C
  • i7 Indexed Primer 2, store at -20°C
  • i7 Indexed Primer 3, store at -20°C
  • i7 Indexed Primer 4, store at -20°C
  • i5 Indexed Primer 1, store at -20°C
  • i5 Indexed Primer 2, store at -20°C
  • i5 Indexed Primer 3, store at -20°C
  • i5 Indexed Primer 4, store at -20°C
  • 1X Binding Buffer, store at 4°C
  • Dig-Wash Buffer, store at 4°C
  • Concanavalin A Beads, store at 4°C
  • SPRI Beads, store at 4°C
  • Dig-300 Buffer, store at 4°C
  • Antibody Buffer, store at 4°C
  • 1% IGEPAL, store at RT
  • 0.5 M EDTA, store at RT
  • 10% SDS, store at RT
  • DNA Purification Wash Buffer, store at RT
  • DNA Purification Elution Buffer, store at RT
  • DNA Purification Binding Buffer, store at RT
  • 3 M Sodium Acetate, store at RT
  • DNA Purification Columns SF, store at RT
 

CUT&Tag-ITTM R-loop Assay Kit で得られたデータ

CUT&Tag-IT R-loop Assay Kit Works with Various Cell Lines
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図1. CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kitによる様々な細胞株での解析結果
500,000個のHEK293、HCT116、SH-SY5Y、T47D、Jurkat、MCF7細胞をCUT&Tag-IT R-loop Assay Kitを用いて解析し(IGVゲノムブラウザの上段6トラックが解析結果)、活性プロモーター部位でのR-loopを示した。比較として、500,000個のK562細胞にanti-H3K27me3 (Cat. No. 39155) とanti-H3K27ac (Cat. No. 39133) を用いたCUT&Tag-IT Assay Kit, Anti-Rabbit (Cat. No. 53160)で解析した結果を示す。(IGVゲノムブラウザの下段2トラックが解析結果)


CUT&Tag-IT R-loop Assay Kit specificity is demonstrated by signal depletion after RNAse treatment
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図2. CUT&Tag-IT® R-loop Assay kitの特異性について、RNase処理によるR-loop由来シグナルへの影響を検証
CUT&Tag-IT R-loop Assay Kitを用いて、500,000個のK562およびHeLa細胞をRNaseA処理あり/なし (n=2) で比較解析した。RNaseAによりR-loopが消化されシグナルが減少すると予測したとおりに、 RNaseA処理によってシグナルが劇的に減少し、CUT&Tag-IT R-loop Assay kit がR-loopを特異的に検出することを示した。


CUT&Tag-IT R-loop Assay Kit Specifically Detects R-loops RNase A Treatment
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図3. CUT&Tag-IT® R-loop Assay kitのR-loopへの特異性:RNaseA処理によるR-loopおよびCTCF由来シグナルの解析
500,000個のHEK293細胞を用いて、CUT&Tag-IT R-loop Assay Kitまたはanti-CTCF (Cat. No. 61311)を使ったCUT&Tag-IT Assay Kit (Cat No. 53160)により、それぞれRNaseA処理あり/なし (n=2) で解析した。コントロールとして、anti-H3K27me3 (Cat. No. 39155) を用いたCUT&Tag-IT Assay Kit, Anti-Rabbit (Cat. No. 53160)で解析した結果を示す。(最下段のトラック)。 RNaseA処理により、DNA-RNA hybrid mAb (クローンS9.6)を用いたシグナルは減少したが、CTCF由来シグナルには影響がなかった。CUT&Tag-IT R-loop Assay KitはR-loopを特異的に検出することが示された。

 

CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kit FAQs

CUT&Tag-IT R-loop Assay KitとCUT&Tag-IT Assay Kit, Anti-Mouseの違いは?

CUT&Tag-IT<sup>®</sup> Assay Kit compared with published data
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核のペレットが視認できない場合、そのままアッセイを続けてよいのでしょうか?

はい、ペレットは見えないかもしれません。ペレットがチューブのどの位置にあるべきかがわかるように、遠心分離機の中でキャップ付きのチューブを正しい向きにセットし、次のステップを慎重に進めてください。

推奨される解析深度は?

2500万リード

バックグラウンドが高いのはなぜですか?

必ず生きた細胞を使用して実験するようにして下さい。Countess IIのような自動細胞計数法、またはトリパンブルー染色と血球計測を用いて、細胞/核が無傷であることを確認してください。

RNase Aネガティブコントロールでライブラリーはできますか?

はい、RNase A処理したサンプルはライブラリーを生成します。RNase Aはライブラリー濃度を著しく低下させます。

IgGのコントロールを使用すべきでしょうか?

いいえ、タグメンテーションに基づくアッセイにおいて、IgGコントロールは非常にばらつきが大きく、一貫性がないことを確認しています。そのため、抗体のコントロールとしては、DNA-RNA Hybrid-mAb (Clone S9.6)を添加しない方法をお勧めしています。

なぜこのキットはRNaseHではなくRNaseAを使うのですか?

RNase H処理ではCUT&Tagシグナルが完全に消失せず、たとえRNaseH消化時のインキュベーションを一晩延長しても顕著な効果は得られずに、さらに時間がかかることになったためです。
Wang et al. (2021) Sci. Adv., 7:eabe3516を参照。

ミトコンドリアDNAは何%程度観測されますかc?

細胞タイプや細胞処理方法によって異なりますが、ミトコンドリアリードにマッピングされたリードの範囲は36%~67%程度でした。

CUT&Tag-IT R-loop Assay Kitと公開されているデータとの比較は?

CUT&Tag-IT<sup>®</sup> Assay Kit compared with published data
CUT&Tag-IT<sup>®</sup> Assay Kit compared with published data

当社のCUT&Tag-IT R-loop Assay KitとWangら(2021) Sci. Adv., 7: eabe3516のデータとのピアソンの相関係数は0.84であった。CUT&Tag-IT R-loop Assay Kit(最下段)とWangらのR-loop検出センサー(上段3つ))を比較したブラウザートラックを示す。

CUT&Tag-IT R-loop Assay Kitは、ヒストン修飾など他のターゲットにも使用できますか?

はい、CUT&Tag-IT R-loop Assay Kit は、ヒストン修飾など他のターゲット用のマウス一次抗体と併用することができます。必ずマウス一次抗体をご使用ください。なお、転写因子をターゲットとした CUT&Tag 法は推奨しておりません。

DNA-RNA Hybrid mAb(Clone S9.6)を使用した際に予想されるライブラリーサイズやライブラリートレース例はありますか?

S9.6 library trace

RNase A処理を行ったサンプルのライブラリートレース例はありますか?

S9.6 plus RNase A treatment library trace


 

CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kitの資料

 

こちらもご参照ください:

US Pat. No. 10,689,643, EP Pat. No. 2999784 and related patents and applications

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CUT&Tag-IT® R-loop Assay Kit 16 rxns 53167 ¥259,000 Buy