ATAC-Seq Kitの概要
Related Products:
- Fixed Cell ATAC-Seq Kit: ホルムアルデヒド固定した細胞からのオープンクロマチン解析
- ATAC-Seq Spike-In Control: Overcome variation between ATAC-Seq datasets
- Tn5 and Pre-indexed Assembled Tn5 Transposomes: インデックスがプレミックスされたReady-to-useのTn5 TransposomesおよびrecombinantTn5 Transposase
- Nextera™-Compatible Multiplex Primers (96 plex): ATAC-SeqやCUT&Tag-IT®アッセイのマルチプレックス (最大96サンプル) に便利なインデックスプライマーセット
ATAC-Seqは、オープンな、すなわちアクセシブルなクロマチン領域を同定することにより、ゲノム全体のエピジェネティックな特徴の解析を可能にする迅速なアッセイです。アッセイの速さ、簡便さ、および幅広いサンプルタイプへの適用性から、ATAC-Seqは詳細なエピジェネティクス解析への入り口として一般的に使用されるアッセイとなってきています。
ATAC-Seqアッセイでは、細胞や組織サンプルから得た無傷な核を、高活性改変型Tn5 トランスポゼースと反応させます。このトランスポゼースは、タグメンテーション(tagmentation: tagging & fragmentationから生まれた造語)と呼ばれる過程において、標的DNAに対するシーケンス用アダプターの標識とDNA断片化を同時に行います。
アクティブ・モティフのATAC-Seq Kitは、1反応当たり20~30 mgの組織または50,000~100,000個の細胞から、16回のIllumina®互換ATAC-Seqライブラリー調製に必要な試薬を含んでいます。最適化されたプロトコールにより、サンプル調製、タグメンテーション、およびライブラリー調製が可能で、シングルフローセルシーケンスでマルチプレックス化できる次世代シーケンサー対応ライブラリーを作成することが可能です。
ATAC-Seq Kitのハイライト
- オープンクロマチン領域のゲノムシーケンスの解明
- 数時間以内に次世代シーケンサー用ライブラリーを調製
- 簡便かつ迅速な最適化されたプロトコールと試薬
ATAC-Seq Kitの構成品
ATAC-Seq Kitは、ドライアイス納品(-20℃保管の構成品)1箱と室温納品(4℃および室温保管の構成品)1箱の合計2箱で出荷されます。製品受領後、マニュアル記載の条件に従って保管してください。すべての試薬は適切に保管した場合、受け取り日から6か月間安定であることを保証します。
Reagents included:
- ATAC Lysis Buffer, store at RT
- Assembled Transposomes, store at -20°C
- 2X Tagmentation Buffer, store at -20°C
- 1X PBS, store at -20°C or RT
- 10X PBS, store at RT
- 10% Tween 20, store at RT
- 1% Digitonin, store at -20°C
- DNA Purification Columns, store at RT
- DNA Purification Binding Buffer, store at RT
- DNA Purification Wash Buffer, store at RT
- DNA Purification Elution Buffer, store at RT
- 3 M Sodium Acetate, store at RT
- 10 mM dNTPs, store at -20°C
- 5X Q5 Buffer, store at -20°C
- Q5 High-Fidelity DNA Polymerase, store at -20°C
- i7 Indexed Primer 1, store at -20°C
- i7 Indexed Primer 2, store at -20°C
- i7 Indexed Primer 3, store at -20°C
- i7 Indexed Primer 4, store at -20°C
- i5 Indexed Primer 1, store at -20°C
- i5 Indexed Primer 2, store at -20°C
- i5 Indexed Primer 3, store at -20°C
- i5 Indexed Primer 4, store at -20°C
- SPRI Beads, store at 4°C
ATAC-Seq Kitのデータ
このキットはATAC-Seqを16回実施するのに必要な試薬と酵素を含みます。キットの構成品は効果的に作用するよう最適化され、高品質のATAC-Seqのデータが得られることが検証されています。
プロモーター部位におけるオープンクロマチンの解明
転写活性の高い遺伝子のプロモーター領域において、クロマチンは一般に開いています。ATAC-Seqアッセイは、これらの位置にピークを見出し、調べているサンプル中のオープンクロマチン領域を明らかにします。

図1:ATAC-Seq Kitを用いた実験結果を示したゲノムブラウザーの画面。マウスの脳組織サンプルにおけるゲノムワイドなオープンクロマチン状態の評価にATAC-Seq Kitを使用した。ゲノムブラウザーの各トラックは、分裂後ニューロンのマーカータンパク質FOXP3をコードするFoxp3遺伝子の位置を示す。ピークはFoxp3遺伝子のプロモーターにおけるオープンクロマチンを示す。
キットを用いた結果は公開されたデータと相関する
アクティブ・モティフのATAC-Seq Kitを用いると高品質のデータが得られます。このATAC-Seq Kitを用いて行われた実験のデータは、公開されているATAC-Seqのデータと非常によく相関します。このことは、このアッセイが安定であり、かつ再現性があること裏付けています。

図2: ATAC-Seq Kitを用いたライブラリーと公開されたATAC-Seqデータの相関。ここでは、公開されたATAC-Seqデータ(Buenrostro, J. D. et al. (2013) Nat. Methods 10: 1213-1218)で読まれたピークのRPKM値と、このキットを利用して生成されたGM12878細胞のデータの相関を示している。その相関係数は0.94であり、密接な相関を示している。
What our customers are saying about our ATAC-Seq kit:
ATAC-Seq Kit FAQs
このキットはBuenrostro et al Nature 2013 のプロトコールと同じですか?
このキットは、オリジナルの論文(Buenrostro et al Nature 2013)およびCorces et al Nature 2017の組み合わせに基づいており、より確実で、効率的なアッセイのためにバッファーを最適化しています。
このキットに含まれるリコンビナントTn 5酵素の供給元はどこですか?
このキットに含まれるリコンビナントTn 5酵素は、弊社で独自に発現・精製を行い、品質テストを行った高活性型の変異体です。この酵素を用いて構築されたトランスポゾームには、次世代シーケンサー用アダプターがあらかじめ搭載されているため、最適化やその他の準備を必要とせずにそのまま使用することができます。
反応に必要な細胞および組織の最小量はどのくらいですか?
細胞の場合、50,000個で、組織の場合は20 mgです。
凍結させた組織や細胞は使用できますか?
はい。ただし、細胞は氷晶形成および、その後の細胞損傷から保護することの可能な培地を用いて、適切な速さで凍結保存することが必要です。組織の場合は、-80℃で瞬間凍結してください。
後でATAC-Seqを行うために核を凍結することは可能ですか?
はい、後の使用に備えて抽出した核は-80℃で凍結保存してください。1度のサンプル調製で限られた量の細胞しか得られない場合も、プールすることでアッセイが可能となります。
FACSで選り分けた細胞を使用することはできますか?
はい、可能ですが、FACSで分ける間に細胞がダメージを受けるおそれがあります。良いライブラリーを得るためには、細胞(特に核)が無傷でなくてはなりません。
組織サプルで使用する40 μmメッシュのストレーナーでおすすめ品はありますか?
はい。Falcon® 40 μm cell strainer (Corning社 Cat. No. 352340)をおすすめします。
DNase処理はすべてのサンプルで推奨されていますか?
DNase処理は、ミトコンドリアDNAの除去や、サンプル中に死細胞が15%含まれる場合など特定の状況において有用です。しかし、細胞にダメージを与えてしまい、酵素を除去できない場合には、データを取得すべき細胞を失う可能性があります。そのため、細胞が十分に生存可能で、酵素の影響を受けない場合のみ推奨します。
Thermomixerを持っていませんが、このキットを使用できますか?
Thermomixerの使用を推奨しますが、ミキサーを使用せずに、37℃に設定したサーマルサイクラー(上蓋を加熱可能なもの)によるインキュベーションでもタグメンテーションできることを確認しています。
Master Mixや酵素を含め、キットに含まれるすべての試薬は溶かして室温で使用できますか?
TransposomeとQ5 DNA polymerase以外のすべての試薬は室温で溶かすことができます。TransposomeおよびQ5 DNA polymeraseにはグリセロールが含まれるため、溶かす必要はありませんが、氷上においてください。他の試薬類は、再度、凍結融解して利用可能ですので1度に16回分の反応を実施する必要はありません。
予想される最終的なライブラリーのサイズ、およびフラグメントアナライザーを用いたライブラリーのトレースの例はありますか?
シーケンスのリード数は1サンプル当たりどのくらい必要ですか?
通常、3,000万のペアエンドリードで十分ですが、最低でも2,000万リードは必要です。ただし、サンプルのゲノムサイズが非常に大きい場合や、より高度な解析が必要な場合は、より多くのリードが必要になる場合があります。
ATAC-Seq Kitで16種類以上のマルチプレックスは可能ですか?
ATAC-Seq Kitには、4x4個のユニークデュアルインデックスが付属されており、最大16サンプルのマルチプレックスが可能です。キット内のインデックス付きプライマーは、N701-N704およびN501-N504に対応するイルミナ社製 Nexteraプライマーと同一の配列です。16サンプル以上のマルチプレックスをご希望の場合は、Nextera™-Compatible Multiplex Primers (96 plex) kit (Cat. No. 53155) により、最大96サンプルまでマルチプレックスが可能となります。これらのプライマーは25 µMの濃度で提供され、当社のキットに直接使用することができます。また、他のイルミナ社製 Nexteraプライマーを購入し、キット内のプライマーと同じ濃度 (25 µM) で組み合わせて使用することも可能です。
ライブラリー断片サイズの品質や対処法については、ATAC-SeqおよびCUT&TagのためのライブラリーQCをご参照ください。
ATAC-Seq Kitの論文使用実績
お客様の投稿した論文実績データベースから、ATAC-Seq Kitの使用例が検索可能です。
ATAC-Seq Kitの資料
ATAC-Seq Kit Manual [Japanese]
ATAC-Seq Kit Quick Guide [English]
Counting Cells and Nuclei for Epigenetic Applications